理科(小)部会理論研修会 終了

テーマ 中心単元の授業作り
日 時 2012年6月29日(金)
会 場 道立教育研究所附属理科教育センター
講 師 伊藤新一郎 氏、三木勝仁 氏、柳本高秀 氏、横山 光 氏
                       (道立教育研究所附属理科教育センター)
参加者 50名
研修会

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3年部会 風やゴムで動かそう               講師:伊藤 新一郎 氏

 本単元は、風やゴムの力を働かせたときの現象の違いを比較する能力を育てるとともに、風やゴムの働きについての見方や考え方を持つことができるようにすることがねらいです。実験の比較対象を教師側からあたえるのではなく、子どもたちから自発的に出させることによって、学習意欲がわき科学する楽しさを実感できる授業へとつながります。

 理論研修会の中で、簡単に作ることのできるゴムや風で動く車を紹介していただき、実際に作製し、体育館で走らせました。それらの活動から「どうしたら遠くまで走らせることができるか」「どこをかえたらもっと走るようになるだろうか」など、子どもの視点で「4QS」とよばれるワークシートを活用して自分自身の課題を追求していきました。理科がはじめての3年生では、まずは体験をし、その体験から情報収集をしていき、問題意識をもって取り組んでいけるような単元構成がのぞましいということを活動を通して教えていただきました。物理分野は他の分野と違っていろいろな比較実験がしやすいところが良いところであり、本単元でも視点の当て方によって様々な実験ができるということがわかりました。また、実験結果をグラフや表などを使い視覚的にとらえられるようにすると、より理解が深まることも教えていただきました。これからの授業作りの参考となる大変有意義な研修会となりました。

研修会

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4年部会 ものの温度と体積                  講師:三木 勝仁 氏

まずは,最近の理科教育の現状や課題についてお話していただきました。日本の児童・生徒は、理科の勉強は好きだが、大切だと思っていないという現状が見えてきました。これは、日本の児童・生徒が、理科で自分の考えを発表する機会が少なく、理科を受動的な教科と感じていることに原因があるということでした。このような現状を改善するためには、子どもたちの素朴な不思議を課題に変え、仮説の設定⇒実験の計画⇒実験による検証⇒実験データの分析・解釈をサイクル的に行うような探究的な活動を設定することが大切になってきます。また、学んだことを使って、身の回りの事物・現象を予想する場面の設定も重要になってくるのです。実際の実験例として、「空気中にスポンジを入れて圧をかけ、ると潰れる」という学んだことを使い、「水を満杯に入れた注射器の中に発砲スチロール片を入れ、圧をかけるとどうなるか?」という実験を行いました。最後に三木先生から、「子どもたちがどのような姿になったら【すっきりわかる】と言えるのか?」、「【すっきりわかる】を達成した時の子どもの姿はどのようなものか?」という大きな問いを投げかけられました。昨年以上に目標を明確にして単元構成や授業づくりを行う必要があると実感することができた理論研修会となりました。

研修会

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5年部会 流れる水のはたらき                 講師:柳本 高秀 氏

 この単元の一番のポイントは「流水の実験」を通して、水による土地の浸食や運搬の様子を実感させ、児童にすっきり理解させることだと思います。ただ、この実験はなかなかうまくいかず、児童にすっきりと理解させるには難しい単元でもあります。今回の理論研修会では、そんな不安を吹き飛ばす「流水のモデル実験 (室内編)」を紹介していただきました。スチレンボードの上にフェルトを乗せ、その上に珪砂(5号)を均一に置きます。そしてS字を作り、水を流します。すると、見事に流水による土地の浸食や運搬の様子がはっきりとわかりました。講師の方によると、フェルトを置くことで珪砂が滑り落ちにくくなり、より自然に近い状態を再現できるそうです。参加された先生方からは「これはいい教材だね」、「わかりやすい!」と感嘆の声が多数聞かれました。その他、5年生の理科の指導のポイントは「条件に目を向けさせる」ことや観点別の評価の仕方など、これからの指導に役立つ情報をたくさん教えていただきました。有意義な時間を過ごすことができ、すぐにでも実験をしたい気分になりました。














研修会

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6年部会 土地のつくりと変化                 講師:横山 光 氏

 理科を専門とする先生も苦手だと言う人が多い「土地のつくりと変化」の単元。6年生では、既習の学習や観察実験したことをもとに推論する力を育てることが大切です。講師の横山先生から、子どもたちが興味関心をもって観察実験をし、推論する力を育成するための方法を教えていただきました。 その一つは、岩石を観察とグループ分けです。大きさや色、重さなどいくりかの視点が考えられます。子どもたちは複数の視点でわけてしまうことがよくあるそうです。視点を一つしぼらせることが、観察したことから推論していく過程で大事であると教えていただきました。
流れる水の働きによって土が層になって積もることを観察する装置も紹介していただきました。流れた水が海にそそぐ様子を再現することができます。重さがちがう2種類の砂(砂鉄と珪砂)を流すと、重い砂(砂鉄)が河口近くに堆積し、細かくて軽い砂(珪砂)が遠くまで運ばれて層をなす様子が観察できます。